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飲食店の運営
売上を上げる方法とは?飲食店が取り組むべき施策と売上アップの原則を徹底解説
飲食店が安定した経営を行うには、継続的な売上の維持・向上が不可欠です。しかし、競合の多い飲食業界において、自店が売上を上げるために何をすべきかわからなかったり、施策を講じてもなかなか効果が出なかったりと、店舗運営に課題を感じている経営者も少なくありません。
この記事では、飲食店の売上アップに欠かせない5つの原則と、それぞれに対応した具体的な施策について詳しく解説します。売上向上のヒントを探している方や店舗運営の見直しを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
売上を構成する3つの要素
売上は「客数」「成約率」「客単価」という3つの要素の掛け合わせで成り立ちます。
売上 = 客数 × 成約率 × 客単価
飲食店が売上を伸ばすためには、自店の状況に応じてどの要素に注力すべきかを分析し、バランスよく施策を講じることが重要です。売上を構成する3要素とはどのようなものか、以下で各要素の意味や重要性について解説します。
客数
客数とは、一定期間内に店舗を訪れた顧客の総数を指します。
飲食店が集客力を高めるためには、新規顧客の獲得と既存顧客のリピート化の両方に取り組むことが重要です。地域のニーズや競合店の状況などを分析し、自店にしかない強みや魅力を打ち出すなど、“この店だから行きたい”という来店動機をつくることが求められます。
成約率
成約率とは、店舗に訪れた人のうち、実際に注文・購入に至る割合を指します。
ただし、飲食店においては「来店=注文」が前提となり、他業種と比べて成約率を個別に重視するケースは少ないでしょう。このため、飲食店の売上は「客数×客単価」で構成されると考えても差し支えありません。
客単価
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客単価とは、1人あたりの平均注文(購入)金額を指します。
飲食店が売上を伸ばすには、客数の増加だけに偏らず、客単価を高める工夫も欠かせません。客単価が上がれば、同じ客数でも売上全体を効率よく伸ばせるため、利益率の改善にもつながります。
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売上を上げるために知っておくべき5つの原則
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飲食店が売上を上げるためには、次の5つの原則を押さえておく必要があります。
・新規顧客の獲得
・既存顧客の離脱防止
・来店頻度の向上
・客単価の向上
・商品価格の見直し
これらは売上アップの鍵となる重要な要素であり、それぞれに目を向けて偏りなく取り組むことが大切です。5原則の内容について以下で詳しく解説します。
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新規顧客の獲得
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新規顧客の獲得は、売上拡大のために欠かせない要素です。飲食店においては、まだ来店したことのない潜在的な顧客、つまり「自店のメニューやサービスに関心を持つ可能性のある層」を発掘することが重要となります。そのためには、幅広い層に向けてお店の情報を発信し、認知度を高めていく必要があります。
ただし、やみくもに発信の対象を広げすぎると訴求力が弱まるため、情報を届けたいターゲット層を明確にし、その層に響くよう戦略的に発信することが大切です。
既存顧客の離脱防止
飲食店が売上を伸ばすには、既存顧客を維持する姿勢が重要です。マーケティングにおいては「1:5の法則」と呼ばれる考え方があり、新規顧客の獲得には既存顧客の維持と比べて5倍のコストを要するといわれています。つまり、既存顧客の離脱を防ぎリピートを促す方が、コストを抑えながら効率よく売上を伸ばせることになります。
来店頻度の向上
売上を安定させるにためは、顧客に「次の来店」を促す施策が欠かせません。来店頻度が向上すると、1人あたりの売上が増え、全体の売上アップにつながります。特に、何度も足を運んでくれるリピーターは、飲食店の売上と成長を支えてくれる重要な存在です。期間限定のクーポンやキャンペーン、既存顧客を対象とした特典など、再来店を促す工夫を積極的に取り入れ、戦略的に来店動機をつくることが大切です。
客単価の向上
客単価の向上は、同じ客数でも売上を伸ばせる効率的な方法です。具体的には、購入個数を増やす「クロスセル」や、購入単価を上げる「アップセル」といった手法が用いられます。飲食店においては、注文に関連する商品(ドリンクやデザートなど)を提案したり、特別なコースへのアップグレードを促したりすることで、客単価を効果的に向上させることができます。
商品価格の見直し
適正な商品価格を設定することも、売上の維持・向上に欠かせない取り組みです。近年は、原材料費や人件費の高騰などの影響を受けて、メニュー価格の見直しを迫られる飲食店も少なくありません。安易に値上げをすると客離れのリスクを招きますが、価格に見合った価値を伝えることができれば、顧客の理解と納得を得やすくなります。原価率や利益率、売上の状況を総合的に考慮しながら、定期的にメニュー価格を見直すことが重要です。
飲食店が売上を上げるための施策5選
飲食店が売上アップを目指すための施策は、日々の業務の中で実践しやすく、かつ継続的な効果が期待できるものを選びましょう。具体的には以下のような施策・アイデアがあり、これらをバランスよく取り入れることが大切です。
- ・顧客の興味を引く情報発信
- ・スタッフの教育と接客力の向上
- ・季節限定メニューの導入
- ・セットメニューやトッピングの提案
- ・原材料や提供価値に見合った価格設定
それぞれの施策について以下で詳しく解説します。
顧客の興味を引く情報発信
飲食店が集客力を高めるには、まずお店の存在を認知してもらうことが大切です。各種SNSやホームページ、グルメサイト、地域情報誌など、さまざまな媒体を活用してお店の魅力を積極的に発信していきましょう。
このなかでも特に実践しやすく、高い効果が期待できるのが「SNS運用」です。Instagramは、料理の写真や店内の雰囲気を視覚的に伝えやすく、ユーザーに「行ってみたい」と思わせるきっかけづくりに役立ちます。定期的なフィード投稿に加えて、24時間限定で情報をシェアできる「ストーリーズ」も活用すれば、“いま伝えたい”お得な情報や混雑状況などをリアルタイムで発信できます。
また、LINE公式アカウントは、クーポンの配布や予約の受付、イベント・キャンペーンの告知など、幅広い目的で活用できるツールです。特に、既存顧客との継続的なつながりを維持しやすく、何度も足を運んでくれるリピーターの育成に効果的です。
スタッフの教育と接客力の向上
飲食店の集客や売上を大きく左右するのが「スタッフの接客力」です。料理の品質や店内の雰囲気も重要ですが、接客の質が低ければ顧客の不満が募り、再来店にはつながりにくくなります。継続的に売上を伸ばすためには、スタッフへの教育を通じて接客レベルを高め、顧客満足度とリピート率の向上につなげることが大切です。
スタッフの教育方法としては、経験豊富なベテランスタッフによる現場指導(OJT)、接客シーンを想定したロールプレイング、接客マナーを体系的に習得する研修・セミナーの開催などが挙げられます。質の高い接客は「また行きたい」という気持ちを引き出し、ポジティブな口コミの投稿や周囲への紹介なども期待できるため、新たな集客につながりやすくなるメリットがあります。
季節限定メニューの導入
季節ごとの特別なメニューを提供することは、顧客の来店動機をつくる有効な手段となります。旬の食材を取り入れた季節限定メニューは、「今しか食べられない」という限定感を演出し、顧客の関心を引きつけることができます。常連客にとっても、定期的な季節メニューの展開は新鮮味があり、飽きずに通ってもらえる要因となるでしょう。
こうした「特別感」や「期間限定」といった要素は、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSとも相性が良く、拡散された情報から新規顧客の来店につながる可能性があります。実際に店舗を訪れた顧客からの発信は、商業的な印象が薄く、リアルな体験に基づく口コミとして信頼されやすいのが利点です。
セットメニューやトッピングの提案
売上を上げるには客単価の向上も不可欠であり、飲食店においてはセットメニューやトッピングの提案によって1人あたりの注文金額を増やすことができます。例えば、メインメニューにドリンクをつけた場合はドリンク代を100円値引きするなど、単品で注文するよりもお得感を演出できれば、自然な形で注文金額を引き上げられるでしょう。
また、メインメニューへのトッピングは「選ぶ楽しさ」があり、お客様の好みに合わせたカスタマイズが可能です。おすすめの組み合わせや季節限定のトッピングなどを適切に提案することで、客単価と顧客満足度を同時に向上させることができます。
原材料や提供価値に見合った価格設定
原材料費や人件費の高騰が続く状況においては、定期的にメニュー価格の見直しを行い、適正価格を設定して利益を確保することが求められます。
特に値上げをする際には、提供する商品の価値や品質を明確に伝え、価格に見合った満足感を顧客に感じてもらうことが重要です。価格改定に合わせてメニューの見直しやサービスの向上を図るなど、新たな付加価値を提供することで、単なる値上げでない「魅力的な改善」として受け入れられやすくなります。
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売上アップを目指すにあたって注意すべきこと
飲食店が売上アップの施策を講じる際は、目先の利益を追いかけるのではなく、長期的な経営の安定を見据えることが重要です。ここでは、売上拡大を目指すうえで注意したいポイントを解説します。
新規顧客ばかりに注力しない
新規顧客の獲得は売上アップに欠かせませんが、そればかりに注力していては安定した売上を維持することはできません。どれほど多くの新規顧客を呼び込めても、既存顧客が離れてしまえば売上の基盤は弱まり、経営の安定化にはつながりにくくなります。
一時的な成果にとどまらず、中長期的に売上を拡大するためには、継続的に来店してくれるリピーターの創出が欠かせません。新たな客層を増やす施策に偏らず、「新規顧客の獲得」と「既存顧客の維持」の両軸で戦略を立て、それぞれのターゲットに応じた施策をバランスよく打ち出しましょう。
値引きよりも“付加価値”で勝負する
値引きは一時的に客足を伸ばす効果がありますが、価格に頼ったサービスは一度きりの来店で終わるケースも多いのが実情です。飲食店が売上を伸ばし、顧客との良好な関係を築くためには、価格以外の独自の魅力や体験価値を高めていく必要があります。
例えば、食材へのこだわりや居心地の良い店内環境、スタッフの接客力など、価格以外の部分で「この店だから行きたい」と思わせる付加価値を提供し、顧客から選ばれるお店をつくることが重要です。
スタッフの業務負担を解消する
飲食店が売上を伸ばすには、現場のオペレーション業務を効率化し、スタッフの業務負担を軽減する視点も必要です。スタッフが働きやすい環境を整備する施策としては、適切なシフト管理による人員配置の最適化や、注文・会計業務を効率化するITツールの導入などが挙げられます。
こうした取り組みは、現場の混乱やミスを防ぐとともに、スタッフのモチベーションを高める効果もあります。業務がスムーズに回るようになれば接客にも余裕が生まれ、細やかな気配りや臨機応変な対応が可能となり、顧客満足度の向上にもつなげることができます。
まとめ
売上を上げるためには、「客数」「成約率」「客単価」という3つの要素をバランスよく高めていくことが重要です。飲食店においては、新規顧客を増やすだけでなく、既存顧客の満足度を維持・向上させる取り組みも欠かせません。そのためには、多角的な視点から施策を講じ、店舗の強みや顧客ニーズに合った戦略を継続的に実行していくことが求められます。
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