飲食店の間借りとは?オーナー側のメリット・デメリットや収益相場、貸し出しの流れを解説 | 飲食店運用のヒント:店タク

  • 飲食店の運営

     

    飲食店の間借り営業は、オーナーにとって店舗の空き時間や遊休スペースを有効活用できる手法です。しかし、間借りは責任の所在が曖昧になりやすく、営業許可を持つオーナーがトラブルに対する責任を負うケースが多いため、貸し出す前に契約条件や運営ルールを明確に取り決めておく必要があります。

     

    この記事では、間借りを提供するオーナー側のメリットやデメリット、収益の目安、貸し出しの流れについてわかりやすく解説します。

     

    飲食店の間借りとは

     

    飲食店の間借りとは、既存店舗の厨房や客席スペースを、一定の時間帯や条件で他の料理人が借りることをいいます。例えば、ディナータイムのみ営業しているレストランを借りて、昼の時間帯にピザやハンバーガーを販売するケースが挙げられます。一つの店舗で異なる形態の飲食店が時間帯を分けて営業できるため、借りる側は開業資金を抑えながら少ないリスクでの出店が可能です。

     

    一方、既存店舗のスペースを他者に貸し出すことは「間貸し」といいます。つまり、「間借り」はお店を借りる側の呼び方であり、「間貸し」はお店を貸し出す側、すなわち既存店舗のオーナーの立場から見た表現となります。オーナーにとっての間借り営業は、自店の営業時間外や空いているスペースを有効活用する手段であり、間貸しによって本業とは別の収益を得ることができます。

     

    間借りスペースを提供するメリット

     

    使っていないスペースを柔軟に活用できる方法として注目される間借り営業。一定の条件で店舗を間貸しすることで、飲食店オーナーは以下のようなメリットを享受できます。

     

    • ・副収入を得られる
    • ・遊休スペースを活用できる
    • ・固定費の負担を軽減できる
    • ・店舗の集客力が高まる

     

    これらのメリットについて以下で詳しく解説します。

     

    副収入を得られる

     

    飲食店の間借り営業は、オーナー側にとって「営業していない時間」や「使用していない空間」を収益化できる方法です。自分の本業に影響が及ぶことなく、利用料や売上歩合などの副収入を得られるのが大きな魅力です。

     

    借りる側にとっても、初期費用を抑えながら自分のお店をオープンできるため、双方にとってメリットのある仕組みといえます。

     

    遊休スペースを活用できる

     

    飲食店が間貸しを行うことで、営業時間外や定休日にも自店のスペースが有効活用され、店舗全体の稼働率を高めることができます。稼働率が向上すると、単に収益が増えるだけでなく、固定費の負担軽減やリスクの分散にもつながり、長期にわたって安定した営業を続けられる可能性が高まります。

     

    間借りを活用する料理人にとっても、既存店舗の設備やスペースをそのまま利用し、すぐに営業を始められるメリットがあります。オーナーにとっては遊休スペースの活用で稼働率を高め、借り手にとっては既存店舗を活かして開業のハードルを下げる、双方にとって効率的な手法となります。

     

    固定費の負担を軽減できる

     

    間借りスペースを提供することで、店舗の家賃や光熱費などの固定費の負担を軽減できます。店舗の固定費は営業時間外でも発生するため、空き時間にスペースを貸し出して収益を得ることで、費用をカバーしつつ経営の安定化につなげられます。

     

    借りる側も賃料に加えて光熱費の一部を負担するケースが多いものの、新たに飲食店を開業する場合と比べると、初期費用や維持費を大幅に抑えることができます。これにより、オーナーは安定した経営、料理人はコストを抑えた営業と、それぞれのニーズを満たす形になるでしょう。

     

    店舗の集客力が高まる

     

    間借りによって既存店舗とは異なる形態のお店がオープンすることで、店舗全体の話題性や集客力が高まる可能性があります。例えば、昼間は手軽なランチを求める層、夜は本格的な料理やお酒を楽しみたい層など、時間帯によって顧客層が変わることで幅広いターゲットにアプローチでき、結果的に店舗全体の認知度やリピーターの増加につながりやすくなります。

     

    借り手にとっても、既存店舗の立地や知名度を活かして集客できるため、双方にとってメリットのある関係が築けるでしょう。

     

    間借りスペースを提供するデメリット

     

     

    • 飲食店の間借り営業は、貸し手・借り手の双方にメリットのある取り組みですが、オーナー視点では注意すべきデメリットも存在します。

       

      • ・トラブル発生のリスクがある
      • ・店舗ブランドに悪影響が及ぶ可能性がある
      • ・各種許認可や保険の確認が必要となる
      • ・設備の消耗・破損リスクが増える

       

      これらのデメリットについて以下で詳しく解説します。

       

      トラブル発生のリスクがある

     

    間借りスペースを提供する場合、既存店舗に影響を及ぼすトラブルが発生する可能性があります。営業許可を持つオーナーは、間借り店舗で起きたトラブルの責任を負うケースが多いことに注意が必要です。

     

    具体的には以下のようなリスクが考えられます。

     

    • ・衛生問題や接客態度に関するクレーム
    • ・売上精算や歩合金額の計算ミスによる金銭トラブル
    • ・備品・設備の破損による修理費の発生
    • ・営業ルール違反による契約トラブル

     

    これらはオーナーの店舗運営にも直接影響するため、事前に契約書で責任範囲や利用ルールを明確に定めるとともに、運営中のチェック体制も整えておく必要があります。

     

    店舗ブランドに悪影響が及ぶ可能性がある

     

    間借り営業で提供される料理やサービスの質が低い場合、既存店舗のブランドイメージにも悪影響が及び、客足が減ってしまう可能性があります。異なるお店を運営していても、借り手の管理が不十分だと、オーナー自身が思わぬトラブルやクレームの対応を迫られるリスクがあるのです。

     

    こうした状況を避けるには、借り手を選定する際にメニュー内容や品質管理、サービスレベルなどを確認し、安心して間貸しできる店舗を選ぶことが重要です。

     

    各種許認可や保険の確認が必要となる

     

    飲食店の営業には「飲食店営業許可」のほか、店舗の形態や営業内容に応じて必要な許認可があります。既存店舗の許可で対応できない場合には新たに取得する必要があるため、食品衛生責任者や防火管理者などの設置も含めて事前に確認しておかなければなりません。こうした許認可手続きや衛生管理を徹底しなければ、保健所から指摘を受けるリスクがあります。

     

    また、既存店舗の保険(火災保険や施設賠償責任保険など)に関しても、間借り営業での使用がカバーされるかどうかを事前に確認し、場合によっては保険内容の見直しや追加加入を検討する必要があります。

     

    設備の消耗・破損リスクが増える

     

    間借りによって設備の使用頻度が増えると、自店だけで使うよりも消耗しやすく、破損リスクが増えることが考えられます。設備が破損した場合、その修理費用や交換費用はオーナーが負担するケースが多いため、間借り店舗との契約条件で原状回復や損害補償の基準を明確にしておくことが重要です。加えて、備品や設備の管理に関するルールをあらかじめ共有し、借り手が適切に使用できるようにしておくのが望ましいでしょう。

     

     

    新しい飲食店の運営を提案する「店タク」では、飲食店オーナーが独立志向のある料理人に店舗運営を委託することを推奨しています。エリア・業態・売上目安などから、お店の現状や条件にマッチするベストパートナーを見つけることができます。

     

    >>>店タク|職人と「組む」新しい飲食店の運営

     

     

    間借り飲食店の収益相場

     

    間借りスペースを提供する飲食店は、具体的にどのくらいの収益が見込めるのでしょうか。ここでは、賃料の目安や売上歩合の相場など、オーナー視点で間借り営業の収益について解説します。

     

    賃料・利用料の目安

     

    • 間借りスペースの賃料は、都心部で月額10万円程度が目安となります。

      また、1日単位で借し出す場合は3,000〜10,000円程度が一般的です。

       

      ただし、貸し出す時間帯や立地条件、店舗の規模、設備の充実度など、さまざまな要素によって目安となる料金は大きく変動します。

       

      売上歩合の相場

     

    • 賃料や固定費の按分に加えて、売上の一定割合をオーナーが受け取る歩合制を採用することがあります。需要の高いエリアでは20%以上になることもありますが、一般的には売上の10〜15%程度が相場といわれています。

       

      【補足】既存許可を使う場合

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    既存の営業許可を利用して間借りを行う場合、営業主体はあくまで既存店舗のオーナーとなります。間借り店舗の売上もオーナーのものとして扱われるため、借り手である料理人には「報酬」として支払う形が一般的です。

     

     

    飲食店を間借りで貸し出すときの流れ

     

    飲食店の間貸しは次の5つのステップで段階的に行います。

    さまざまな確認事項や取り決めが発生するため、事前にルールや責任の範囲を明確にしながら計画的に進めることが大切です。

     

    1. 1. 物件オーナーに間貸しの承諾を得る
    2. 2. 必要な許認可・保険を確認する
    3. 3. 利用料・契約条件・共通ルールを決める
    4. 4. 間借りしたい料理人と契約を結ぶ
    5. 5. 運用を始める

     

    物件オーナーに間貸しの承諾を得る

     

    店舗を借りて営業している場合、まずは物件を所有するオーナーや管理会社に対して間貸し営業の承諾を得なければなりません。賃貸借契約で転貸や用途変更を禁止しているケースでは、承諾を得ずに間貸しを行うと契約違反となり、契約解除や損害賠償の請求を受けるリスクがあります。

     

    必要な許認可・保険を確認する

     

    間貸しの承諾を得たら、間借り営業に必要な各種許認可や保険の適用範囲を確認します。営業形態が異なる場合など、既存店舗の営業許可を利用できない場合は、間借り営業を行う飲食店が新たに営業許可を取得する必要があります。

     

    利用料・契約条件・共通ルールを決める

     

    店舗を間貸しできる体制が整ったら、間借り店舗の賃料や売上歩合、利用時間帯、設備の管理方法、原状回復の基準などを決定します。こうした条件やルールを契約書に明記することで、双方の責任や役割が明確になり、トラブルを未然に防ぐことにつながります。

     

    間借りしたい料理人と契約を結ぶ

     

    借り手となる料理人との間で契約を締結します。契約段階で条件やルールを細かく確認し、双方が納得したうえで契約を結ぶことが重要です。

     

    運用を始める

     

    契約が整ったら運営開始となります。既存店舗のオーナーも定期的に運営状況を確認し、設備の使用方法や衛生管理に不備がないかをチェックします。必要に応じて相談や情報共有を行うなど、双方で適切なコミュニケーションを取ることが求められます。

     

    飲食店の間貸しを考えているなら「業務委託」がおすすめ

     

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      飲食店の業務委託(運営委託)とは、既存店舗の経営をオーナーが主体となって継続しつつ、実際の運営を料理人に委託する形式のことです。

       

      間借り営業は空き時間やスペースを有効活用できる反面、衛生管理や設備管理などの責任がオーナーに集中しやすいという課題があります。一方、業務委託では営業許可や経営責任がオーナー側にあり、委託先はあくまで運営業務を担う立場のため、リスクをコントロールしやすいのが特徴です。

       

      店舗運営を腕のある料理人に任せることで、オーナー自身は経営戦略や売上管理といったコア業務に専念できます。「店舗は維持したいが、自分で営業する時間や人手が足りない」というオーナーにとって、業務委託は現実的かつリスクの少ない選択肢となります。

       

      飲食店の業務委託については以下の記事でも詳しく解説していますので、本記事とあわせて参考にしてください。

       

      関連記事:飲食店が業務委託をするメリット・デメリットとは?雇用契約との違いを詳しく解説

       

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      まとめ

     

    飲食店オーナーにとって、間借り営業は自店のスペースを有効活用し、本業とは別の収益を得られる手段です。しかし、一つの店舗で異なる形態の営業を行うと、さまざまな面で責任が曖昧になりやすく、予期せぬトラブルやクレームが発生するリスクが高まります。

     

    リスクを避けつつ安定経営を図るには、腕のある料理人に運営業務を任せる「業務委託」を採用するのがおすすめです。この方法なら、オーナーが日々の調理や接客から離れても、店舗の看板を維持しながら安定した収益を確保できます。自身は経営に専念し、戦略的に店舗を成長させたいオーナーに最適な選択肢となるでしょう。

     

     

    店タクは「お店を任せたい人」「経営に挑戦したい人」を業務委託という仕組みでつなぐ新しいマッチングサービスです。飲食店の間貸しを考えているなら、信頼できる第三者に店舗運営を委託する選択肢もぜひご検討ください。

     

    >>>店タク|職人と「組む」新しい飲食店の運営

     

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