-
飲食店の運営
飲食店開業の手順まとめ|準備からオープンまでの流れを徹底解説

飲食店の開業は事前にやるべきことが多く、初めての開業では準備不足や判断ミスでつまずくケースも少なくありません。こうした失敗を防ぎ、スムーズに開業準備を進めるためには、開業までの流れや必要な手続きをあらかじめ把握しておくことが重要です。
この記事では、飲食店開業の流れをステップごとに整理して解説するとともに、資金や経験に不安がある場合の選択肢も併せてご紹介します。飲食店の開業を考えている方にとって、準備や計画を進める際の参考になれば幸いです。
飲食店を開業するまでのスケジュール
飲食店を開業するまでには、目安として6カ月~1年程度の準備期間を要します。コンセプト設計から始まり、物件探しや内装工事、メニューの考案、スタッフの教育など、多くのプロセスを段階的に進めていく必要があるため、あらかじめ無理のない計画を立てておくことが大切です。
以下は、飲食店開業までの主な準備内容を期間ごとにまとめたスケジュール例です。あくまで目安となりますが、開業準備を進める際の一つの指標として参考にしてください。
飲食店開業までのスケジュール目安
期間
開業準備
開業6カ月~1年前
· コンセプト設計
· 事業計画の立案
· 物件探し
開業3カ月~6カ月前
· 内装工事・備品調達
· メニューの考案
開業1カ月~3カ月前
· 資格や許認可の取得
· スタッフの採用・育成
開業
· グランドオープン
飲食店開業の流れ【8ステップで解説】

ここからは、上記のスケジュール例をもとに飲食店開業までの流れを8つのステップに分類し、各工程で必要な準備や注意点と併せて詳しく解説します。
1. コンセプト設計
飲食店開業の第一歩は、店舗のコンセプトを固めることです。店舗としてどのような方向性を目指すのかを明確にし、提供する料理や販売方法、ターゲット層などを具体的に決めていきます。
コンセプト設計において主に考えるポイントは以下のとおりです。
- ・業態(居酒屋、カフェ、レストランなど)
- ・販売方法(店内飲食、テイクアウト、デリバリーなど)
- ・ターゲットの属性(年齢、性別、ライフスタイルなど)
- ・価格帯
- ・店舗の強みや雰囲気
これらがあいまいなまま進めてしまうと、店舗づくりに一貫性がなくなり、その後の集客や売上にも大きく影響してきます。まずは自分がどんな飲食店を開きたいのかを整理し、その理想像を具体的なコンセプトとして言語化することが重要です。
2. 事業計画の立案
コンセプトが決まったら、事業内容や経営戦略、収支計画などをまとめた事業計画書を作成します。金融機関などから資金調達を行う際には、この事業計画書が重要な判断材料となるため、現実的かつ具体的に作成することが求められます。
事業計画書に盛り込む項目例
- ・事業を始める動機
- ・経営者の事業経歴・資格
- ・事業内容やセールスポイント
- ・取引先の情報
- ・必要な資金と調達方法
- ・現在の借入状況
- ・事業の見通し(売上高や経費など)
特に書き方のルールが決まっているわけではありませんが、事業内容や収支の見通しを分かりやすく整理し、誰が見ても理解できる内容にまとめる必要があります。日本政策金融公庫が新規創業者向けにさまざまな書式(テンプレート)を提供していますので、事業計画書を作成する際はこうした情報も参考にしてみてください。
参考資料:各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】|株式会社日本政策金融公庫
3. 物件探し
-
店舗となる物件探しは早い段階から進めておきましょう。立地条件は飲食店の集客や売上に大きく影響するため、人通りの多さや周辺の競合状況などを調査し、自店のコンセプトに合う物件を選ぶことが重要です。
-
物件選びで確認するポイント
- ・飲食店営業が可能な物件か
- ・ターゲット層が多く集まるエリアか
- ・人通りや視認性は十分にあるか
- ・周辺に競合店が多すぎないか
- ・物件の規模や家賃は適正か
ここまでが、開業6カ月~1年前の期間に進めておきたい主な準備内容です。これ以降は、内装工事やメニューの考案、スタッフ採用など、店舗を運営するための実務的な準備が中心になります。
4. 内装工事・備品調達
物件が決まったら、店舗の内装工事や備品の準備を進めていきます。
ここで重要なポイントは、着工前に保健所へ事前相談を行い、店舗の設備が基準に合っているかどうかを確認してもらうことです。飲食店の開業にあたっては営業許可が必要となりますが、基準を満たしていない場合は許可が下りなかったり、工事完了後に修正が発生したりと、余計な費用や時間がかかってしまう可能性があります。
【補足】営業許可申請の流れ(一例)
- 1.工事を始める前に設計図面などで設備基準を満たしているか保健所に相談する
- 2.営業許可申請書に必要事項を記入し、必要書類を添えて保健所へ提出する
- 3.保健所の担当者による店舗調査が実施される
- 4.基準を満たしていれば営業許可証が交付される
5. メニューの考案
メニューは店舗の魅力を決める要素であり、早い段階からコンセプトに沿って検討を進めていくことが大切です。メニュー設計にあたっては、競合店との差別化につながるオリジナリティが求められますが、原価率や調理のしやすさも考慮する必要があります。
例えば、メニュー数をある程度絞り込むことで、厨房の作業効率や提供スピードが向上し、仕入れコストの軽減にもつながります。人気メニューを中心に構成し、季節に応じた期間限定メニューを加えるなど、お客様を飽きさせないための工夫も欠かせません。こうしたアイデア出しや試作を重ね、早いうちからメニュー構成を固めておきましょう。
6. 資格や許認可の取得
飲食店を開業する際には、保健所の営業許可をはじめ、食品衛生責任者の資格取得や消防署・税務署への各種届出などの手続きが必要となります。詳しい内容については次の章で解説しますので、ここでは開業準備の一つとして把握しておきましょう。
7. スタッフの採用・育成
新たにスタッフを雇う場合は、求人サイトや広告、SNSなどを通じて求人募集を行います。オープン前から十分な教育期間を確保できるよう、開業の1~2カ月前には採用活動を開始することが望ましいでしょう。
飲食店における採用活動のポイント
- ・求める条件を明確にする(勤務時間や経験の有無など)
- ・この店舗で働く魅力をアピールする(待遇やシフトの柔軟性など)
- ・複数の採用手法を組み合わせてより多くの候補者にアプローチする
スタッフの教育では、基本的な調理手順や提供方法、オーダーの取り方、会計の手順、接客マナーなどを指導し、実際の営業を想定したロールプレイングも行いましょう。開業直後は混乱しやすいため、クレームやトラブル発生時の対応マニュアルも事前に共有しておくと、想定外の事態が起きても落ち着いて対応できるようになります。
8. グランドオープン
-
すべての準備が整ったら、いよいよグランドオープンです。開業後はお客様の反応や売上の動向をこまめに確認しながら、メニューやサービスの改善を継続的に行い、よりよい店舗づくりを進めていきましょう。
また、スタッフとの情報共有やオペレーションの見直しも並行して行うことで、店舗内での役割分担や協力体制が整い、業務効率やサービス品質の向上につながります。業務上の課題や改善案の共有、スタッフ同士の連携を強化するために、定期的なミーティングやフィードバックの機会を設けるのが望ましいでしょう。
飲食店の開業に必要な資格・届出
飲食店を開業する際に必要な主な資格・届出は以下のとおりです。
【資格】
- ・食品衛生責任者(店舗ごとに1名以上必須)
- ・防火管理者(収容人員30人以上の場合は必須)
【届出】
書類
提出先
提出期限(一例)
営業許可申請書
保健所
開業予定日の10日前まで
防火対象物使用開始届出書
消防署
使用開始の7日前まで
防火管理者選任届出書
消防署
速やかに
火を使用する設備等の設置届出書
消防署
設置する7日前まで
個人事業の開業届出書
税務署
開業から1カ月以内
※提出期限は地域によって異なる
このほかにも、深夜時間帯にお酒を提供する場合は「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届」を提出するなど、店舗の業態に応じて追加で手続きが必要となる場合があります。早めに確認して書類や届出の準備を進め、新規開業に必要な手続きを漏れなく済ませておきましょう。
飲食店開業でつまずきやすいポイント
万全の準備を整えて開業しても、当初の計画どおりに売上や運営が進むとは限りません。資金繰りの問題やオペレーションの混乱など、開業直後は想定外の問題が発生しやすく、臨機応変かつ柔軟な対応が求められます。
ここでは、多くの飲食店が開業初期につまずきやすいポイントを3つご紹介します。
開業資金・運転資金の不足
資金の見通しが甘いままスタートすると、固定費の支払いや借入金の返済が追いつかず、開業後すぐに資金ショートしてしまう可能性があります。特に開業初期は売上が安定しづらく、想定外の出費が発生するケースもあるため、あらかじめ数カ月分の運転資金を確保しておくのがおすすめです。
飲食店を開業する際は、国や自治体の助成金・補助金を活用できる可能性があります。こうした制度も活用しながら、まずは資金面を安定させることを目指しましょう。
スタッフ採用・教育の課題
飲食店は慢性的な人手不足に陥りやすく、最小限の人数でオペレーションを回している現場も少なくありません。せっかくスタッフを採用しても定着せず、短期離職が繰り返されている店舗も多く見られます。また、人手が足りないために新人教育が十分に行えないことで、スタッフのオペレーションや接客スキルの習熟が遅れてしまうと、開業直後からサービスの品質が安定しない原因となります。
こうした採用・教育の課題を解消するには、採用条件や労働環境の見直しを通じてスタッフが働きやすい環境をつくるとともに、充実した研修・教育体制を整えることが不可欠です。飲食店における人手不足の現状や解決策については以下の記事でも詳しく解説していますので、本記事と併せて参考にしてください。
関連記事:飲食店の人材不足はなぜ起きる?人手が足りない理由と効果的な解決策を紹介
集客施策の不足
飲食店を新規開業する上で、集客施策が不十分では来店客数やリピート率が伸びず、安定した売上にはつながりません。お店のコンセプトや料理に自信があっても、開業前から積極的に情報を発信しなければお客様には届かず、せっかくの魅力が伝わらないまま機会を逃してしまうこともあります。
下記は飲食店の集客に効果的な施策の一例です。
オンラインの集客施策
- ・SNSでの情報発信(InstagramやXなど)
- ・Web広告やグルメサイトへの掲載
- ・プレスリリースの活用
- ・メルマガやLINE公式アカウントでの情報発信(リピーター向け)
オフラインの集客施策
- ・折り込みチラシや地域情報誌への掲載
- ・ダイレクトメールの送付
- ・開店前の看板・店頭掲示物によるPR
- ・地域のイベント出店
新規顧客やリピーターを呼び込むには、オンラインとオフラインの施策を組み合わせ、効率的に情報を発信することが大切です。以下の記事では飲食店の集客施策やアイデアを詳しくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
関連記事:飲食店の集客方法12選!成功のポイントや面白いアイデアをまとめて紹介
リスクを抑えて飲食店経営を始める方法

飲食店を開業する際にはいくつものステップを踏む必要があり、開業準備や資金面での不安が大きいという方も多いのではないでしょうか。手続きを誤ると許認可の取得が遅れたり、資金繰りが厳しくなったりと、開業スケジュール全体に影響が出ることもあります。
こうしたリスクを避けつつ店舗運営の経験を積みたい場合は、業務委託(運営委託)を活用しながら経営をスタートするのも選択肢の一つです。特にトラスト方式の業務委託では現場の裁量が大きく、料理人としての経験やノウハウを生かしながらメニュー開発やサービス改善などに主体的に関わることができます。
新しい飲食店運営を提案する「店タク」は、トラスト方式をモデルとした新しいマッチングプラットフォームです。雇用でも間借りでもない、業務委託という仕組みで店舗とつながり、“お店を持つ”という夢に一歩近づくことができます。この方法を活用すれば、リスクを抑えながら経営スキルを磨けるため、将来的な独立開業に向けたステップとしても有効です。
店タクのサービス内容に興味のある方は、以下のサイトより詳細をご確認ください。
まとめ
飲食店の開業準備はオープンの6カ月~1年前を目安に、事前にスケジュールを立てて計画的に進めることが大切です。準備からオープンまでの手順を押さえることで、営業開始後のトラブルや運営の混乱を防ぎ、スムーズな稼働につなげられます。
また、資金面や人材確保などに不安がある場合は、業務委託を活用して店舗運営に関わる方法もあります。店タクのサービスは現場の運営を「任せる」方式であり、経営面で伴走しつつも現場には干渉しないため、店舗運営全体に関わる実践的な経験を積むことができます。さまざまな選択肢を検討しつつ、自分の状況や目標に合わせて最適な方法を選んでいただければと思います。
店タクは「お店を任せたい人」「経営に挑戦したい人」を業務委託という仕組みでつなぐ新しいマッチングサービスです。開業準備や資金面に不安がある場合は、店タクを活用しながら店舗運営の第一歩を踏み出す選択肢もあります。
飲食店運用のヒント