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飲食店の運営業務委託
飲食店の居抜き売却とは?査定ポイント・売却の流れ・トラブル防止策を解説

飲食店の廃業は決して珍しいことではなく、多くの店舗が売上低迷や人手不足、資金繰りの課題などさまざまな悩みを抱えています。こうした状況が続くと事業の継続が困難になり、廃業を検討せざるを得なくなることもあるでしょう。この場合、廃業に伴う届出や手続きについて正しく理解していなければ、思わぬトラブルや不利益につながる可能性があります。
この記事では、飲食店が廃業に至る主な理由や廃業時に必要な書類・提出先、さらには届出を行わないリスクについて詳しく解説します。
居抜き物件売却とは
居抜き物件売却とは、店舗を閉店・移転する際に、設備や内装などの造作物を残した状態で次の経営者に引き継ぐ売却方法のことです。個人経営の飲食店においては一般的な売却手法の一つであり、店舗の価値を残しつつ、解体コストを抑えてスムーズに引き渡すことができます。また、引き渡しの直前まで通常通り営業を続けられるため、解約予告期間中の賃料を削減できるメリットもあります。
ここでは、居抜き売却の主な方法と、売却にかかる期間について解説します。
飲食店業界は新規参入が多い一方で、近年の経営環境は一層厳しさを増しており、廃業・倒産の決断を余儀なくされるケースも少な、ありません。まずは、各種調査結果をもとに、飲食店の廃業率や倒産動向について見ていきましょう。
ここでは、居抜き売却の主な方法と、売却にかかる期間について解説します。
居抜き売却の方法
居抜き売却には主に「造作譲渡」と「現状引き渡し」という2つの方法があります。
造作譲渡
厨房設備や内装などの造作物に価格をつけ、現借主(売主)と次の借主(買主)との間で売買する方法です。店舗の金銭的な価値が評価される有償での譲渡方法であり、売主は買主から造作譲渡料を受け取ることができます。
現状引き渡し
オーナー(貸主)との賃貸借契約終了後、厨房設備や内装を含めた現在の状態のまま店舗を引き渡す方法です。造作譲渡料が発生しない無償での譲渡方法であり、次の借主(買主)は現状の設備をそのまま利用できます。
なお、物件オーナーである貸主は売買の当事者ではありませんが、居抜き売却を行うには事前に貸主からの承諾が必須となります。
売却までの期間の目安
居抜き売却にかかる期間は、通常1〜3か月程度が目安となります。立地の需要が高く、内装・設備の状態が良ければ数週間で成約する場合もありますが、条件が厳しい場合には半年以上かかることもあります。売却までの期間を短くするには、事前に設備の状態や契約条件を整理し、内見時にすぐ説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
居抜き物件の査定で見られる主なポイント

居抜き物件の売却相場は、東京都内・20坪前後の飲食店で50〜150万円程度が一つの目安となります。ただし、この金額はあくまで参考値であり、実際の査定額は立地や規模、設備の状態などさまざまな要素によって大きく変動します。
居抜き査定で最も重視されるのは「需要があるか」という点です。その立地・規模・設備の条件で、次に使いたい人が現れるかどうかが査定額を左右します。
以下では、査定時に見られる主なポイントについて解説します。
立地
立地の良さは飲食店の集客や売上に大きく影響する要素であり、居抜き物件の査定でも特に重視されます。人通りの多い繁華街や駅前、商業施設の近くなど、需要の高い立地ほど物件としての価値も高く評価されるでしょう。反対に、人通りが少ないエリアやアクセスが悪い立地、視認性が低い場所では査定額が伸びにくく、買い手が見つかるまでに時間がかかる傾向にあります。
規模
店舗の規模は、単に広い・狭いだけで評価されるものではなく、「この規模でどのような業態が成立するか/効率的に運営できるか」という点が判断基準となります。例えば、10〜20坪程度の小規模店舗は、初期費用を抑えたい個人開業者や新規参入者からの需要が高く、比較的動きやすい傾向にあります。また、店舗の間取りや動線によっては、同じ坪数でも使い勝手に差が出るため、次に使う人が無理なく運営できるかどうかも重視されるポイントです。
機器・設備の状態
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居抜き売却においては、建物の骨組み以外をすべて取り払う「スケルトン工事」を行わず、厨房機器や空調・排水設備などを残したまま引き渡します。次の借主にとっては、すぐに使用できる機器・設備が多いほど初期費用を抑えられるため、物件としての魅力が高まり、査定評価も上がりやすくなります。
反対に、老朽化などで設備の修理・交換が前提となる場合は、査定額が下がるだけでなく、引き渡し後の修理範囲をめぐってトラブルに発展する可能性もあります。
内装の清潔感
内装の清潔感も居抜き物件の査定額を左右するポイントです。大規模な改装をしなくても、壁や床の汚れ、臭い、劣化の程度が目立たず、比較的きれいな状態に保たれているなら、内見時に好印象を持ってもらいやすくなります。加えて、軽微な手直しだけで営業できると判断されれば、査定評価の向上につながることも期待できます。
居抜き物件売却の一般的な流れ
居抜き物件の売却は次のような流れで行います。
- 契約内容の確認
- 現地調査・査定
- 貸主の承諾
- 買い手の募集
- 内見・条件交渉・契約締結
- 物件の引き渡し
ここでは、居抜き売却の一般的な手順を6つのステップに分けて解説します。
【1】契約内容の確認
まずは物件の契約内容を確認し、居抜きの可否や貸主への解約予告期間、原状回復義務の範囲などを把握することが重要です。特に「居抜き可」と明記されていない場合、無断で話を進めると貸主との信頼関係を損ない、居抜き売却自体が認められなくなる可能性があります。加えて、厨房設備などのリース契約がある場合は、リース会社との契約内容も事前に確認しておきましょう。
【2】現地調査・査定
専門業者に現地調査を依頼し、居抜き物件としての査定を行います。先述したように、以下のような要素から「どの程度の需要が見込めるか」が判断され、物件の評価や売却条件が決まります。
- ・立地
- ・店舗の規模
- ・機器・設備の状態
- ・内装の清潔感
【3】貸主の承諾
居抜き売却を進めるには、原則として貸主の承諾が必要です。造作譲渡自体は借主同士の取引ですが、貸主の同意がなければ次の借主と新たに賃貸借契約を結ぶことができず、居抜きでの引き渡しが成立しません。条件交渉を円滑に進め、後々のトラブルを防ぐためにも、必ず事前に承諾を得ておく必要があります。
【4】買い手の募集
居抜き専門業者などを通じて買い手の募集を行い、立地や広さ、設備内容、譲渡条件といった物件情報を整理して発信します。不動産関連のポータルサイトや広告サイトといったWeb媒体での発信のほか、業者が保有する顧客ネットワークを活用し、出店希望者へ直接情報を届けたり内覧会を実施したりするケースもあります。
【5】内見・条件交渉・契約締結
買い手候補が現れたら内見を行い、具体的な条件交渉に進みます。条件が合意に至ったら造作譲渡契約を締結し、譲渡対象となる設備や内装、金額、支払い条件、引き渡し方法などを明確に記載します。双方の認識のズレや「言った・言わない」が生じないよう、設備の現状や不具合の有無も含めて書面に残しておくことが重要です。
【6】物件の引き渡し
貸主と買い手が賃貸借契約を締結、貸主と売り手が賃貸借契約を解約したうえで、物件の引き渡しが行われます。当日は厨房機器や空調などの動作確認を行い、問題がなければ鍵や関係書類を渡して取引完了となります。引き渡し日までに、店舗内の清掃や不用品の処理、設備の動作確認などを済ませておきましょう。
居抜き物件売却でよくあるトラブルと防止策

居抜き物件の売却では、契約内容や設備に関する認識の違いから、売却後にトラブルへ発展するケースも少なくありません。ここでは、居抜き売却でよくあるトラブル例と、問題を未然に防ぐための防止策をご紹介します。
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契約関連のトラブル
- 契約関連で特に多いのが、原状回復義務をめぐるトラブルです。
原則として賃貸借契約では、退去時に借主が原状回復を行う義務を負います。しかし、居抜きで退去する場合、旧借主(売主)は原状回復義務の一部または全部が免除されることが多く、新借主(買主)がその義務を引き継ぐケースが一般的です。
しかし、居抜き物件では「原状」の認識が曖昧になりやすく、後々トラブルに発展することがあります。これを防ぐには、契約書に「退去予定者は原状回復義務を免除される」旨を明記するとともに、内装・設備の引き渡し範囲についても事前に取り決めておくことが重要です。
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設備・内装関連のトラブル
設備・内装に関するトラブルは、「使用できると思っていた機器が故障していた」「内見時にあった設備が撤去されていた」といった認識のズレから発生します。
居抜き売却では設備や内装を現状のまま引き渡すケースが多く、状態確認を入念に行わなければ故障や不具合を見逃してしまう可能性があります。また、貸主が所有権を持つ設備を勝手に譲渡することはできないため、事前に付帯設備表や譲渡品リストを作成し、誰の所有物か/故障や不具合があるかなどを明確にしておくことが重要です。
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不用品の処理に関するトラブル
設備を残したまま店舗を引き継ぐ居抜き売却では、譲渡品と不用品の区別が曖昧になりやすく、引き渡し後に処分費用の負担や処理方法をめぐるトラブルが発生する可能性があります。
これを防ぐには、譲渡品と不用品を明確に区別したうえで、不用品に関しては「誰が・いつまでに・どの範囲を処分するのか」を事前に決めておくとよいでしょう。取り決めた内容は契約書や付帯書類に記載し、売主・買主双方で合意を取っておくと、引き渡し後のトラブルを未然に防ぐことができます。
飲食店を「売る」よりも「任せる」という選択肢
さまざまな事情から飲食店を手放すことを検討し始めるとき、多くのオーナーは「売却」という選択肢を真っ先に考えるでしょう。しかし、売却が成立するまでには時間がかかるうえ、期待するほどの価格で買い手が見つからなかったり、引き渡し後に設備や契約内容をめぐるトラブルが発生したりするリスクがあります。
そこで注目したいのが、店舗を「売らずに任せる」という選択肢です。業務委託を利用し、腕のある料理人や独立志向の強い人材に店舗運営を任せることで、日々の経営から離れても店舗の価値や収益を維持できます。
運営委託を選択するメリット
- 経験者のノウハウをすぐに活用できる
- 売上を改善できる可能性がある
- 店舗のブランド・価値を維持しやすい
- スタッフの採用・育成コストがかからない
- オーナーの時間的負担を軽減できる
- 既存スタッフや常連客への影響を最小限に抑えられる
「お店は残したいが、自分で運営を続けるのは難しい」と感じている経営者にとっては、業務委託による経験豊富なパートナーへの引き継ぎが、最も有効かつ現実的な解決策となるでしょう。
新しい飲食店の運営を提案する「店タク」では、飲食店オーナーが独立志向のある料理人に店舗運営を委託することを推奨しています。人手不足や売上低迷など、多くの飲食店オーナーが抱える店舗運営の悩みは、信頼できる人材に運営を「任せる」ことで解決できます。
まとめ
飲食店の居抜き売却は、厨房設備や内装をそのまま引き継ぐことで初期投資を抑え、比較的スムーズに次のオーナーへ店舗を引き渡すことができます。しかし、居抜きを行う際には必ず物件オーナーである貸主の承諾を得なければならず、契約面や設備面などでも注意すべき点が多々あります。引き渡し後のトラブルを防ぐためには、事前に契約内容の確認や設備の動作点検を済ませ、譲渡品・不用品の範囲を明確にしておくことが重要です。
また、飲食店を手放す方法は「売却」だけでなく、業務委託を活用して信頼できる人材に店舗運営を「任せる」方法もあります。経験豊富な料理人のノウハウを活かすことで、売却よりも高い収益性や店舗価値の向上を目指すことも可能です。自分で運営するのが難しく、売却によるリスクや負担を避けたい場合は、業務委託という新たな選択肢の検討をおすすめします。
店タクは「お店を任せたい人」と「経営に挑戦したい人」を業務委託という仕組みでつなぐ新しいマッチングサービスです。居抜き売却を考えているなら、信頼できるプロフェッショナルに店舗運営を委託する選択肢をぜひご検討ください。
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業務委託
業務委託契約とは?雇用契約との違い・締結の流れ・注意点をわかりやすく解説

業務委託契約は、外部に委託する仕事や成果に応じて報酬を支払う契約です。フリーランスや副業人材、外部の専門家などとの協業に幅広く活用されていますが、事前に契約内容や条件を明確に取り決めておかなければ、受託者とのトラブルや法的リスクにつながる恐れがあります。業務委託を行う際は、業務範囲や品質基準、報酬条件などを定めた契約書を作成し、委託者・受託者双方の認識をあらかじめ揃えておくことが重要です。
この記事では、業務委託契約の基本的な仕組みから雇用契約との違い、契約締結の流れや注意点までをわかりやすく解説します。
業務委託契約とは
業務委託契約とは、自社が行っている業務の一部を外部の企業や個人に委ねる際に締結する契約です。発注側である委託者は、特定の業務の遂行や成果物の完成を受託者に依頼し、その対価として報酬を支払います。
業務委託契約においては、委託者と受託者との間に指揮命令関係はありません。委託者は業務内容や納期、報酬額などの条件を提示し、受託者はこれに基づいて自らの裁量で業務を進めます。仮に、委託者が受託者の働き方について細かく指示を出す場合には、後述の「偽装請負」とみなされる可能性があります。
雇用契約との違い
雇用契約は民法第623条にて以下のように規定されています。
雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
(民法第623条)
引用元:民法|e-Gov 法令検索
つまり「①労働者が使用者の指揮命令下で労働に従事すること」と「②使用者がその労働の対価として賃金を支払うこと」を約束する契約です。雇用契約で働く労働者は、労働基準法をはじめとする各種労働関係法令や社会保険制度によって手厚く保護される一方、企業の従業員として使用者の指揮命令に従う必要があります。
それに対して、業務委託契約における受託者は独立した立場で業務を行い、労働基準法や社会保険制度の保護対象にはなりません。委託者から細かな指示を受けず、自分の判断で業務を進められる自由度の高さがある一方で、受託に伴うさまざまなリスクについては自ら責任を持って管理する必要があります。
業務委託契約の3つの形態
業務委託契約には「請負契約」「委任契約」「準委任契約」という3つの形態があります。そもそも「業務委託契約」という名称は法律上の用語ではなく、これらの契約類型を総称した呼び方です。実際に契約を結ぶ際は、依頼する業務内容や求める成果に応じてどの形態が当てはまるかを適切に判断することが重要です。
各契約形態を比較すると以下のような違いがあります。
請負契約
委任契約
準委任契約
指揮命令権
なし
なし
なし
報酬の対象
成果物
業務遂行
(法律行為)
業務遂行
(非法律行為)
報酬の発生時期
引き渡し時
完了時
完了時
成果物の完成責任
あり
なし
なし
請負契約
請負契約とは、成果物を完成させることを約束する契約です。
民法第632条で以下のように定められています。
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(民法第632条)
委任契約
委任契約とは、法律行為の業務遂行を委託する契約です。
民法第643条で以下のように定められています。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(民法第643条)
準委任契約
準委任契約とは、法律行為以外の業務遂行を委託する契約です。
民法第656条で以下のように定められています。
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
(民法第656条)
引用元:民法|e-Gov 法令検索
業務委託契約書に盛り込むべき項目
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業務委託契約書に記載すべき一般的な項目を下表にまとめています。これらの事項に加え、委託する業務内容の性質やリスクに応じて自社に必要な項目を追加しましょう。
項目
内容
業務内容
依頼する業務の範囲、作業内容、成果物の要件など
契約期間
契約の開始日・終了日、更新の可否や条件など
報酬・支払条件
報酬額、支払方法、支払時期、経費負担の有無など
納品・検収方法
成果物の納品方法、検収期間、結果通知、修正回数の上限など
成果物の帰属
知的財産権の帰属や譲渡の条件など
再委託の可否
受託者が業務を第三者へ再委託できるか
(再委託可の場合は条件も記載する)
禁止事項
受託者の行為制限がある場合は記載する
その他の一般条項
契約解除、秘密保持、損害賠償、反社会的勢力排除など
(※一般条項:契約の種類にかかわらず、契約全般で共通して定められる標準的な条項)
原則として業務委託契約書の作成義務はないものの、契約内容を書面で残すことで業務遂行や報酬支払いに関する条件が明確化し、両者の認識のズレやトラブルの未然防止につなげられます。口約束やメールでのやりとりでも契約自体は成立しますが、両者の合意内容を示した契約書の作成が強く推奨されます。
業務委託契約を締結する流れ

業務委託契約は外部に業務を依頼する際の重要な手続きであり、一連のプロセスを押さえておくことでスムーズに進められます。契約内容の不備や認識違いによるトラブルを防ぐためにも、双方の理解が一致した状態で契約を結ぶことが重要です。
業務委託契約を締結する際の一般的な流れは次のとおりです。
- 1. 委託先の選定
- 2. 業務内容・条件のすり合わせ
- 3. 契約形態の決定
- 4. 業務委託契約の締結
- 5. 契約書の保存
以下で段階ごとにわかりやすく解説します。
【1】委託先の選定
まずは自社の業務を任せる委託先を選定します。以下のような方法を用いて候補者を探し、過去の実績や専門性、スキル、業務遂行体制などを細かく確認しましょう。
- ・自社のWebサイト上での公募
- ・フリーランスや個人事業主のマッチングサービス
- ・ソーシャルリクルーティング
- ・既存の取引先・関連会社
- ・知人・同業者からの紹介
複数の候補がある場合は比較検討し、自社の業務内容や目的に最も適した委託先を選定しましょう。また、業務を円滑に進めるためには、コミュニケーションの取りやすさやレスポンスの早さなども重要な判断基準となります。
【2】業務内容・条件のすり合わせ
委託先が決まったら、双方で業務内容や条件を詳細にすり合わせます。先述の「業務委託契約書に盛り込むべき項目」を参考に、業務内容や契約期間、報酬・支払い条件、禁止事項など、契約に必要な事項を事前に確認・整理しておきましょう。
この段階で両者の認識を合わせておかなければ、後々の業務進行や成果物の品質に関して齟齬(そご)が生じ、トラブルに発展する恐れがあります。曖昧な表現を避けて具体的に、両者の合意内容を明確化しておくことが求められます。
【3】契約形態の決定
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業務委託契約には「請負契約」「委任契約」「準委任契約」があり、どれに該当するかで報酬の対象や成果物の完成責任などが異なります。業務内容の性質を踏まえて適切な契約形態を決定し、契約書にも明記しておくことが重要です。
例えば、請負契約の場合は「成果物の完成」が報酬条件となるため、納期や品質基準を明確に定める必要があります。一方、委任契約・準委任契約の場合は「業務の遂行」そのものが対象となり、業務の範囲や期間、進捗報告の方法などを事前に打ち合わせることが求められます。
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【4】業務委託契約の締結
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契約条件を詳細に記した業務委託契約書を作成し、双方で確認・合意のうえで締結します。業務内容や契約期間、報酬・支払条件、納品方法など必要な事項を網羅しつつ、具体的かつ明確な表現で記載することが重要です。
紙での契約に加え、近年は電子契約サービスを利用するケースも増えています。どちらで締結しても問題ありませんが、いずれにしても法律で定められた期間は適切な方法で保存しておく義務があります。
【5】契約書の保存
業務委託契約書は原則として10年間の保存が義務付けられています(会社法第432条より)。電子契約の場合も同様ですが、これに加えて「電子帳簿保存法」に則った形での保存が求められます。
電子帳簿保存法における保存要件
· 電子帳簿の「真実性」:改ざん防止措置
· 電子帳簿の「可視性」:関連書類の添付、見読性の確保、検索機能の確保
業務委託契約を結ぶときの注意点
業務委託契約の締結にあたっては、契約内容だけでなく実務上の運用方法にも注意が必要です。法的リスクやトラブルを回避するために、以下の点に留意して契約内容や業務の進め方を確認しましょう。
業務範囲・成果物の定義を明確にする
業務委託契約を結ぶ際は、受託者に依頼する業務の範囲や成果物の形式・品質基準などを明確に取り決め、契約書にも具体的に明記しておくことが重要です。複数の業務プロセスがあって作業担当者が分かれる場合、それぞれの工程や担当者ごとの責任範囲も細かく定めておくと、業務の混乱や報酬支払いに関するトラブルを未然に防ぐことができます。
業務委託契約では、受託者に対し指揮命令に該当するような詳細な指示を出すことができません。その分、事前のすり合わせや合意形成を丁寧に行い、互いの理解や認識を確認しながら契約手続きを進めることが重要となります。
偽装請負にならないようにする
偽装請負とは、契約上は業務委託となっているにもかかわらず、実際には企業からの指揮命令や労働条件の管理が行われている状態を指します。例えば、受託者の作業について細かく指示を出したり、勤務時間や休暇を管理したりする場合が該当します。
こうした働き方は労働基準法や職業安定法、労働者派遣法に抵触する違法行為とみなされ、行政指導や罰則(拘禁刑または罰金)の対象となる可能性があります。偽装請負を避けるには、契約上で業務範囲や成果物を定めるだけでなく、実務上も受託者の働き方に過度に介入しないことが重要です。
飲食店における業務委託契約の活用例

飲食店においては、既存店舗の運営を第三者に委託するケースで業務委託契約が活用されます。日常的な店舗運営業務を腕のある料理人に任せることで、オーナー自身は経営戦略や売上管理などのコア業務に注力できるようになります。飲食店経営にありがちな「人材不足」「売上低迷」といった課題も、信頼できるプロフェッショナルと組むことで改善の糸口を早期に見つけられるでしょう。
新しい飲食店の運営を提案する「店タク」は、お店を“任せたい人”と”挑戦したい人”をつなぐ次世代型マッチングプラットフォームです。それぞれが抱く“お店を持つ”という夢に、業務委託という仕組みを通じて現実的な一歩を踏み出せる環境を提供しています。
店タクを通じた課題解決例
「売上を伸ばしたいオーナー」と「自分のスキルを生かして収入を得たい料理人」がマッチング。確かな技術と独立志向のある料理人に一店舗の運営を丸ごと任せた結果、オーナー自身では実現できなかった新しい工夫が取り入れられ、店舗は見事に繁盛店へと成長しました。
飲食店における業務委託の特徴やメリット・デメリットについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もぜひご参照ください。
関連記事:飲食店が業務委託をするメリット・デメリットとは?雇用契約との違いを詳しく解説
まとめ
業務委託契約には「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つの類型があり、依頼する業務の性質に応じて適切な契約形態を選ぶことが重要です。いずれにしても委託者と受託者との間に指揮命令関係はなく、受託者は独立して業務を遂行するため、各種労働法や社会保険は原則として適用されません。自社の従業員に行うように、業務の進め方や勤務時間を細かく管理すると「偽装請負」とみなされるリスクがあることに注意が必要です。
飲食店においては、実際の店舗運営を独立志向のある料理人に依頼する形で業務委託が活用されています。オーナーは経営に専念でき、料理人は実践的な運営経験を積めるため、どちらにとってもメリットのある仕組みです。人手不足で業務が回りにくい、採用や育成コストが増えているなど、店舗運営の負担が大きい場合は業務委託を検討してみてはいかがでしょうか。
店タクは「お店を任せたいオーナー」「自分のお店を持ちたい料理人」を業務委託という仕組みでつなぐ新しいマッチングサービスです。店舗運営に関する悩みがあるなら、信頼できるプロフェッショナルに委託する選択肢もぜひご検討ください。
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飲食店の運営業務委託
飲食店が間貸しをするメリットとは?収益化の仕組みや注意点、活用事例も紹介

飲食店の間貸しは、既存店舗の空き時間・空きスペースを有効活用できる仕組みです。営業時間外や定休日に店舗を貸し出すことで、通常の営業だけでは得られない新たな収益が生み出されます。ただし、間貸しをする相手の選定や契約内容・ルールの取り決めなどを適切に行わなければ、既存店舗の評判やブランドにも悪影響が及ぶ可能性があります。
この記事では、飲食店が間貸しをするメリットや収益化の仕組み、オーナーが注意すべきリスク、具体的な活用事例についてわかりやすく解説します。
飲食店の間貸しとは
飲食店の間貸しとは、営業時間外や定休日などで空いている店舗スペースを、他の料理人や事業者に貸し出す仕組みです。例えば、夕方から夜にかけてのディナータイムだけ営業している飲食店において、お昼のランチタイムは別の事業者が軽食やドリンクを提供するケースが挙げられます。
飲食店オーナーにとっては、普段の営業に支障が出ない範囲で自店を有効活用でき、固定費の負担を軽減しながら追加の収益を得られる手段となります。一方、料理人や新規事業者にとっても、初期費用を抑えながら飲食店を始められるチャンスとなり、期間限定のポップアップや新メニューのテスト販売など試験的な出店にも適しています。
飲食店が間貸しをするメリット
飲食店の間貸しは、既存店舗の設備や空き時間を有効活用できるだけでなく、収益面や集客面でもさまざまな利点があります。
- ・追加収益を得られる
- ・固定費を軽減できる
- ・店舗資産を最大限に活かせる
- ・店舗の集客力や話題性が高まる
飲食店オーナーが得られるメリットについて以下で詳しく解説します。
追加収益を得られる
飲食店の間貸しは、オーナーにとって新たな収益源となります。普段使っていない時間帯に店舗を貸し出すことで、通常営業では得られない収入を生み出せるため、経費の補填や経営の安定化につなげられます。
また、長期契約や継続利用の条件を設けるなど、契約内容によっては間貸しによる収入を定期的な収益源として見込むことも可能です。加えて、新しいメニュー開発や広告宣伝費など、利益向上や経営改善のための投資にも充てることができます。
固定費を軽減できる
飲食店経営においては、店舗の家賃や光熱費などの固定費が大きな負担となります。間貸し収入があればこれらのコストを部分的にカバーし、経費の負担を軽減しつつ通常営業の利益圧迫を緩和する効果も期待できます。
また、厨房機器や空調設備、内装などの維持管理費に充てたり、将来的な設備投資や改装費用の資金として確保したりと、店舗の品質維持やサービス向上にも役立てられます。
店舗資産を最大限に活かせる
空いている時間に間貸しを行うことで自店の設備やスペースを最大限に活用できるため、投資した厨房機器や座席スペースなどの稼働率が高まり、設備の費用対効果や店舗価値の向上につなげられます。
自店が営業していない曜日や時間帯に他の事業者が入ることで、空間や設備を無駄なく使いながら、店舗全体の稼働率を高めることができます。稼働率が向上すると、固定費の負担や設備の老朽化リスクを分散させ、資産価値を維持しやすくなるメリットがあります。
店舗の集客力や話題性が高まる
飲食店の間貸しは、既存店舗の集客力や話題性の向上につながることも期待できます。例えば、自店とは異なるジャンルやコンセプトの事業者が間借り営業を行うことで、新たなメニューやサービスが提供され、これまで来店しなかった顧客層を呼び込むきっかけになるかもしれません。
また、間貸し先がSNSや口コミで話題になれば、店舗全体の認知度向上や新規顧客の獲得にも寄与します。このように、間貸しを通じて新たな顧客層の来店や話題づくりが行われると、既存店舗の経営にも好影響をもたらす可能性があります。
間貸しによる収益化の仕組み
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間貸しによる副収入は、飲食店オーナーにとって貴重な収入源となります。ここでは、間貸しで得られる収益の目安と、収益を生み出す基本的な仕組みについて解説します。
オーナーが得られる収益の目安
間貸しによる収益は、貸し出す時間帯や立地などの条件によって大きく変動します。あくまで目安ですが、月単位で貸す場合は都心部で10万円程度、1日単位では3,000〜10,000円程度が利用料金の相場となります。
また、賃料や固定費の按分に加え、売上の一定割合をオーナーが受け取る歩合制を採用するケースもあります。一般的には売上の10〜15%程度が相場となりますが、需要の高いエリアでは20%以上になることもあります。ただし、前述の通りさまざまな条件で左右されるため、あくまで参考値として捉えてください。
間貸しで収益を生む基本的な仕組み
飲食店の間貸しは、営業時間外や休業日の空き時間、また未使用のスペースを他の事業者に貸し出すことで収益を得る仕組みです。収益は時間単位の利用料や売上に応じた成果報酬として設定されるのが一般的で、契約内容や立地、設備の充実度などさまざまな条件によって収益性が変わってきます。
この仕組みは借り手である料理人にもメリットがあります。初期費用を抑えて実際の店舗運営を試せるため、顧客の反応を見ながらメニューや接客の改善を行うなど、将来的な独立開業の準備を進めることができます。
なお、既存の営業許可を利用して間貸しを行う場合、営業主体はあくまで店舗オーナーであり、料理人には「報酬」として支払う形になります。
飲食店が間貸しをする際の注意点

飲食店の間貸しは収益や集客面でのメリットが見込めますが、店舗を貸し出すオーナー側が注意すべきリスクも存在します。
- ・又貸しをしているケースがある
- ・設備や備品の破損リスクがある
- ・各種許認可の確認と適切な対応が必要となる
- ・店舗の評判に悪影響が及ぶ可能性がある
これらのリスクや注意点を理解し、事前に適切な対応をとっておかなければ、思わぬ損失やトラブルを被る恐れがあります。それぞれのポイントについて以下で詳しく解説します。
又貸しをしているケースがある
又貸しとは、借りている店舗を無断で第三者に貸し出すことをいいます。貸主の許可を得ずに又貸しが行われると、両者の信頼関係が損なわれるだけでなく、契約違反として違約金が発生する可能性が高まります。
飲食店の間貸しにおいては、意図せず又貸しの状態になっているケースも少なくありません。貸主が許可していれば問題ないため、間貸しをする場合には必ず事前に貸主の承諾を得る必要があります。
設備や備品の破損リスクがある
飲食店の間貸しでは、他の事業者が自店の設備や備品を使用するため、破損・故障のリスクが高まります。加えて、設備の破損に伴う修理費用や交換費用は、既存店舗のオーナーが負担するケースが多いことに注意が必要です。
間貸しをする上で、ある程度の消耗は避けられませんが、雑な扱い方や誤った使用方法によって想定以上のダメージが出てしまう可能性もあります。こうしたリスクを回避するためには、設備や備品の取り扱いに関するルールを事前に共有し、借り手が適切に扱えるようにしておくことが大切です。また、契約時には原状回復の範囲や損害賠償の基準などを具体的に定めておくのが望ましいでしょう。
各種許認可の確認と適切な対応が必要となる
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飲食店の間貸しでは、貸し出す相手が営業に必要な許認可を取得しているか確認する必要があります。既存店舗の許可だけで対応できる場合もありますが、提供するメニューや営業形態によっては借り手が新規で許可を取らなければなりません。
許認可が不十分な状態で間借り営業が始まると、既存店舗のオーナー側にも責任が及ぶ可能性があります。また、店舗が加入している火災保険や施設賠償責任保険などについて、間借り営業の利用まで補償対象として含まれるかどうかも事前の確認が必要です。
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店舗の評判に悪影響が及ぶ可能性がある
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間貸し先の料理人や事業者の対応によっては、自店の評判やブランドにまで悪影響が及ぶ恐れがあります。例えば、提供される料理の質が低い、スタッフの接客態度が悪い、衛生管理が行き届いていないなど、間借り営業しているお店だけの問題であっても、このような事業者に店舗を貸していること自体がお客様の評価を下げる要因になりかねません。
間借りをする際は「どのような事業者を入れているか」という点も含めて、店舗全体の印象として受け取られる可能性があります。近年はSNSが普及し、ネガティブな口コミは瞬く間に拡散されるなど、店舗に与える影響が非常に大きくなっています。こうしたリスクを未然に防ぐためには、貸し出す相手の選定や事前の取り決めを慎重に行うとともに、トラブル発生時にも適切に対処できる体制を整えておくことが重要です。
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新しい飲食店の運営を提案する「店タク」では、飲食店オーナーが独立志向のある料理人に店舗運営を委託することを推奨しています。運営上のリスクを最小限に抑えつつ、信頼できる料理人に大切なお店を任せる仕組みとして、業務委託は有効な選択肢となります。
飲食店を間借りで貸し出すときの流れ
飲食店の間貸しにはさまざまな形がありますが、特に時間貸しや日貸しの活用はわかりやすい事例です。具体的には以下のような活用方法が考えられます。
- ・夜営業のバーが昼の時間帯をカフェ希望の料理人に貸し出す
- ・カフェが平日の空き時間をテイクアウト専門の事業者に貸し出す
- ・月曜定休のレストランが休業日だけ他の事業者に貸し出す
この中から「夜営業のバーが昼の時間帯をカフェ希望の料理人に貸し出す」ケースを例に挙げると、バーを運営している店舗は通常閉まっている昼の時間帯を有効活用し、営業外での副収入を得ることが可能です。一方、カフェ希望の料理人は独自に店舗を持たずとも既存の設備や客席を利用できるため、新規事業の初期費用や運営コストを大幅に抑えられます。昼はカフェ、夜はバーと、共通の店舗でありながら時間帯によって客層やサービスが異なるため、互いに新規顧客を獲得するチャンスも生まれるでしょう。
運営リスクを最小限に抑える「業務委託」という選択肢

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業務委託とは「自社の業務を外部の企業や個人に委託すること」を指します。飲食店における間貸しと比較すると、間貸しが短期的・試験的な出店に適しているのに対し、業務委託は長期的かつ安定的に店舗運営を任せられるという特徴があります。
飲食店が業務委託をするメリットは、店舗運営のリスクを最小限に抑えつつ、定期的な収益を得られることです。腕のある料理人に日々の運営を任せれば、オーナー自身は経営戦略や売上管理に専念し、店舗全体の成長や収益改善に注力できるようになります。
「店舗は維持したいと思っているが、人手不足や売上低迷などの課題を抱えている」
――このような状況にあるオーナーにとって、業務委託はリスクを抑えながら現実的に営業を続けられる選択肢となるでしょう。
具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのか、飲食店の業務委託について詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。雇用契約との違いも含めて、業務委託契約に関する基礎知識もわかりやすく解説しています。
関連記事: 飲食店が業務委託をするメリット・デメリットとは?雇用契約との違いを詳しく解説
まとめ
飲食店の間貸しは、貸す側のオーナーにとっては空き時間やスペースを収益化できる手段であり、固定費の負担軽減や店舗全体の稼働率向上、さらには新たな顧客層の獲得にもつながります。一方で、間貸しには設備の破損リスクや各種許認可の確認、自店のブランドへの影響といった注意点も多く、貸主に許可を得ないまま「又貸し」をしてしまうと法的責任を問われる可能性が高まります。
これらのリスクを抑えつつ長期的に収益を得たい場合は、店舗運営を外部のプロに任せる業務委託の活用がおすすめです。特に、人手不足や売上低迷に悩んでいる飲食店にとって、独立志向のある料理人と「組む」ことは有効な解決策となるでしょう。
店タクは「お店を任せたい人」と「経営に挑戦したい人」を業務委託という仕組みでつなぐ新しいマッチングサービスです。飲食店の間貸しを考えているなら、信頼できるプロフェッショナルに店舗運営を委託する選択肢をぜひご検討ください。
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業務委託
飲食店が業務委託をするメリット・デメリットとは?雇用契約との違いを詳しく解説

飲食店で働き手と契約を結ぶ際、オーナーが選ぶ契約形態は大きく分けて「雇用契約」と「業務委託契約」の2つがあります。オーナーは各契約形態を十分に理解するとともに、自店の現状や今後の方向性に即した人材活用の方法を検討することが重要です。
この記事では、こうした契約形態の基礎知識に加え、飲食店が業務委託をするメリット・デメリットについて詳しく解説します。
飲食店オーナーと働き手との契約形態
飲食店におけるオーナーと働き手との契約形態は、主に「雇用契約」か「業務委託契約」のいずれかになります。
- ·雇用契約
- → 働き手を従業員として雇い、その対価として賃金の支払いを約束する契約
- ·業務委託契約
- → 外部の事業者に委託し、仕事の成果や業務遂行に対して報酬を支払う契約
- ただし、契約書上は「業務委託契約」とされていても、その実態が雇用関係に近い場合は「雇用契約」と扱われる可能性があります。オーナーが具体的な業務指示を出すなど、受託者が自分の裁量で働けていない場合は「偽装請負」とも判断されかねません。
- 飲食店オーナーが雇用契約と業務委託契約の違いを正しく理解することは、適切な人材活用やトラブルの未然防止につながります。具体的にどのような契約形態なのか、次項より各契約の内容や違いについて詳しく解説していきます。
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雇用契約とは
- 労働者の雇用は民法第623条に規定されています。
雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
- 引用:民法|e-GOV法令検索
- 雇用契約とは上記の規定を満たす契約を指し、具体的には「①労働者が使用者のもとで労働に従事すること」「②労働の対価として使用者が労働者に賃金を支払うこと」の両方を約束する契約をいいます。雇用契約においては労働基準法や労働契約法などの労働法が適用され、労働者は法的保護のもとで働くことになります。
- なお、雇用契約は労働者と使用者の合意のみで成立しますが、契約内容については書面で確認できるようにするのが望ましいとされています。
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雇用契約を結ぶ際の必要書類
- 労働者の雇用にあたっては「労働条件の明示」が必須であり、労働条件通知書を書面で交付することが義務付けられています。
- 雇用契約書に関しては法律上の作成義務はありませんが、雇用条件に関する労使間のトラブルを防ぐ観点から書面を取り交わすのが望ましいでしょう。労働条件通知書と雇用契約書の兼用も可能であり、「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として交付する企業もあります。
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業務委託契約とは

- 業務委託とは「自社の業務を外部の企業や個人に委託すること」をいいます。委託者と受託者の間に指揮命令関係はなく、受託者は自分の裁量で仕事を遂行し、委託者は業務の成果物や役務の提供に対して報酬を支払います。受託者は「労働者」ではなく、企業に雇用されずに働くため、各種労働法は適用されません。
- 飲食店における業務委託の具体例は次のとおりです。
- ・店舗運営
- ・調理・ホール業務
- ・デリバリー業務
- ・メニュー開発
- ・メニューブックの作成
- ・SNS運用などの広報活動
- これらの業務を外部に委託する際は「業務委託契約」を結ぶのが一般的ですが、法律上「業務委託契約」という名称は存在しません。業務委託の内容によって「請負契約」か「委任(準委任)契約」のどちらかを締結することになります。
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請負契約とは
- 民法第632条に規定される「請負」の定義は次のとおりです。
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
- 引用:民法|e-GOV法令検索
- 請負契約では「仕事の結果(成果物)」が報酬の基準となり、完成した成果物に対して報酬が支払われます。
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委任(準委任)契約とは
- 民法第643条に規定される「委任」の定義は次のとおりです。
委任は当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
- 引用:民法|e-GOV法令検索
- 「準委任」については民法第656条に規定されており、法律行為でない事務の委託(=準委任)を行う場合も委任と同じルールが適用されます。どちらも「業務の遂行」を報酬の基準とし、成果物の完成が求められる契約ではありません。
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請負契約と委任(準委任)契約の違い
- 請負契約と委任(準委任)契約の違いを下表にまとめました。
請負契約
委任(準委任)契約
指揮命令権
なし
なし
報酬の基準
成果物
業務遂行
報酬発生時期
引き渡し時
完了時
成果物の完成責任
あり
なし
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業務委託契約を結ぶ際の必要書類
- 業務委託契約を結ぶ際は、委託業務の内容や契約期間、報酬などを記載した「業務委託契約書」を作成するのが一般的です。一部の取引を除き、原則として契約書の作成義務はありませんが、契約内容を書面で明確にすることでトラブルの未然防止につなげられます。
- 契約書を作成する際は一般的に「業務委託契約書」としてまとめるケースが多いものの、その実質的な内容が「請負契約」と「委任(準委任)契約」のどちらに該当するかは業務の目的や性質によって判断することになります。
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雇用契約と業務委託契約の違い
- 雇用契約と業務委託契約は「働く人が労働者かどうか」が大きな違いとなります。
- 雇用契約では、働き手は雇用主の指揮命令に従って働き、法律上の「労働者」として労働時間や業務内容などを細かく管理されます。一方、業務委託契約における働き手は労働者ではなく、独立した事業者という位置付けです。これにより労働法の適用を受けず、業務の進め方や時間配分などは自分の裁量で決められます。
- この判断において重要なのが「使用従属性」の有無です。働き手が雇用主の指揮命令下にあり、その対価として報酬が支払われる場合は「労働者」として扱われ、契約書の名称にかかわらず実質的に「雇用契約」と判断される可能性が高くなります。
- 《雇用契約と業務委託契約の違い》
雇用契約
業務委託契約
雇用主
就業先
なし
指揮命令権
あり
なし
提供するもの
労働力
成果物/業務遂行
勤務時間の制約
あり
なし
労働法上の保護
あり
(労働法が適用される)
なし
(労働法が適用されない)
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飲食店が雇用契約を結ぶメリット・デメリット
- 雇用契約は働き手を従業員として雇い、労働力の対価として賃金を支払う契約です。
- ここでは飲食店が雇用契約を締結するメリット・デメリットを紹介します。
新しい飲食店の運営を提案する「店タク」では、飲食店オーナーが独立志向のある職人に店舗運営を委託することを推奨しています。
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雇用契約のメリット
- 飲食店が雇用契約を結ぶメリットは以下のとおりです。
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オーナーの方針を反映できる
- 雇用契約における働き手は「労働者」であり、企業側の業務指示や労務管理を受けながら働きます。飲食店にとっては、提供するメニューや接客スタイル、オペレーション、お店の雰囲気づくり、営業時間など、さまざまな面で直接指示を出すことができるため、オーナーの方針や意向を反映させやすいメリットがあります。
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業務の知識やノウハウが定着する
- 雇用契約を結ぶことで、長期的な視点での人材育成が可能となります。コストはかかるものの、オーナーが直接指導したり現場での経験を積ませたりできるため、店舗独自の接客スタイルやオペレーションが着実に根付いていきます。こうした知識やノウハウが定着すると、新たな人材への教育もスムーズとなり、長期にわたって一定のクオリティを保ったサービスを提供し続けることができるでしょう。
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雇用契約のデメリット
- 一方で、飲食店が雇用契約を結ぶと以下のようなデメリットが生じる可能性もあります。
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本来のパフォーマンスが発揮されにくい
- 雇用契約を結ぶと、従業員はオーナーの指示に従って業務を行うため、個々の裁量は限られがちです。たとえ腕のある料理人と出会えても、既存のメニュー構成やオペレーションなどオーナーの方針に沿った業務を任せる場合には、優秀な人材が持つスキルやノウハウを十分に活かせなくなるかもしれません。本来のパフォーマンスが発揮されないことで、本人のモチベーション低下を招くとともに、店舗全体としても集客や売上が伸び悩む可能性があります。
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労務管理に手間がかかる
- 飲食店が雇用契約を結ぶ場合、従業員の勤怠管理や給与計算、社会保険手続き、入退社対応など多岐にわたる労務管理が発生します。これらの業務には正確さが求められ、労働基準法など各種法律に則った適切な管理を行わなければなりません。
- 加えて、労働環境の変化とともに頻繁に法改正が行われるため、常に最新の情報を確認しながら確実に対応していくことが求められます。このような労務管理に手間がかかることで、オーナーが本来注力すべき店舗運営にかける時間が削られてしまう可能性があります。
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飲食店が業務委託をするメリット・デメリット

- 業務委託は外部に仕事を委託し、その成果や業務遂行に対して報酬を支払う契約です。
- ここでは飲食店が業務委託をするメリット・デメリットを紹介します。
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業務委託のメリット
- 飲食店が業務委託をするメリットは以下のとおりです。
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経験者のノウハウをすぐに活用できる
- 現時点で売上低迷や人材不足といった課題を抱えている飲食店では、経験者のノウハウをすぐに取り入れられる業務委託が有効な選択肢となります。腕のある職人や独立志向のある人材に業務を委託することで、開店当初から即戦力として存分にパフォーマンスを発揮してもらえるため、飲食店が直面するさまざまな課題の解消につながります。競合がひしめく飲食業界においては、自らのスキルやノウハウを活かしてすぐに活躍できる人材を確保することが不可欠です。
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採用・育成コストがかからない
- 飲食店の運営を外部に委託する場合、オーナーが自ら採用活動を行う必要はありません。採用条件の洗い出しから求人募集、書類選考、面接、入社対応など、一連の活動をすべて委託した人材に任せることができます。加えて、業務委託ではノウハウを持つ人材に業務を任せることが前提であり、オーナーが育成や指導を行わないため、その分のコストを抑えられるメリットもあります。
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業務委託のデメリット
- 一方で、飲食店が業務委託をすると以下のようなデメリットが生じる可能性もあります。
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オーナーの方針とのズレが生じやすい
- 業務委託契約においては、委託側(飲食店)と受託側(働き手)との間に指揮命令関係がありません。これにより店舗の経営方針やサービスのスタイルといったオーナーの意向が十分に反映されず、方向性のズレが生じる可能性があります。
- こうしたズレを避けるためには、店舗運営を完全に任せるという判断も一つの解決策となります。責任感が強く、自らの裁量で成果を出す意欲の高い人材に委託することで、長期にわたって安定した店舗運営を目指せるでしょう。
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飲食店側にノウハウが蓄積されにくい
- 業務委託は即戦力を確保できる一方で、優秀な人材が持つノウハウが店舗側に残りにくいというデメリットもあります。店舗運営を任せる場合には、委託先の人材が契約終了とともに店舗を離れると、そのノウハウも現場から失われてしまうかもしれません。これを防ぐには、業務マニュアルの作成や定期的な報告・ヒアリングの実施など、業務や運営に関する情報を店舗内に残せる仕組みを整えておくことが重要です。
人材不足や売上低迷など、飲食店オーナーが抱える数々の課題は「職人と組む」ことが有効な解決策となります。店タクでは腕のある職人に活躍できる場を提供し、お店の繁栄につなげています。
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まとめ
- 飲食店における契約形態は、主に「雇用契約」と「業務委託契約」の2つに分かれます。それぞれの契約には異なる特徴やメリット・デメリットがあり、実際の働き方によっては「名目上の業務委託契約が雇用契約と判断される」こともあり得ます。飲食店オーナーが安定した店舗運営を行うためには、自店の現状や将来の展望を踏まえて、最適な契約形態を選択することが大切です。
店タクは飲食店オーナーが抱える店舗運営の悩みを「職人と組む」ことで解決するサービスです。「雇う」でも「貸す」でもない新しい飲食店の運営に興味のある方は、店タクまでお気軽にお問い合わせください。
飲食店運用のヒント